伝わる人に伝わるだけでいいの?
年末年始に読む本を考えるのが楽しい時期になりました。
先日、本州のちいさな出版社がイベントを行っていたので足を運んでみました。社員の方とお話ししたところ、「今は物を書くだけで食べていこうとする人はいませんよ」とのこと。そこでは、詩やエッセイを書く人、装丁を担当する人などが集まり、肩ひじ張らずにゆっくりと本を作っているようです。それほどお金をかけなくても、本を作って売る環境は整ってきましたが、それだけで生計を立てられるかというとそうはいかないようです。
本に限らず、何かを作っている人と話すと、「伝わる人に伝わればいい」と聞くことがあります。必ずしも後ろ向きな言葉ではないのですが、本人たちにとって耳障りの良い言葉でごまかしているように感じます。「もっと読んでほしい、手にとってほしい。でも今の時代はこうだから仕方ないよ」と諦めているようなさみしさがあります。
ネット上では嘘の情報や引用だらけの記事が流布し、丁寧に作っている人たちはこじんまりと活動する、今はこうした時代ですが、そのうちこの流れも変わるでしょう。どういう流れだろう……。
そんなことを考えていたら、いまだ年末年始に読む本が決まりません。
【S】