過疎問題
某地方紙の特集で、過疎地で活動する弁護士が取り上げられました。ただ、その記事のコンセプトは「地方の司法を考えた」とあるわりには、弁護士会が過疎地に事務所を開き派遣する人材を養成しています程度の記載で、これでは分からない人が読んでも問題の所在は分からないだろうなと物足りなく感じました。
弁護士事務所も依頼者から弁護料をいただいて家賃などの経費を払ったうえで弁護士と事務員の生活をまかなうという経済活動の側面がありますので、一定の需要がないと売上不足で事務所を維持できません。過疎地はその需要が十分ではなく、経済原理に任せていれば、自主的に過疎地で開業する人はなかなか現れません。そこで弁護士会は、社会貢献のため、会員から集めたお金と労力を使って過疎地に弁護士事務所が存在できるようにしているのです。しかし、今は弁護士会がそのようなことを始めたころと違って弁護士皆がそこそこの収入を得ている状況ではないので、そういうことは弁護士会ではなく国や自治体に担わせるべきではないかという意見もあります。
地方での産科・小児科不足、JR北海道の路線維持、警察署の統廃合なども問題となっていますが、過疎地のインフラ整備は、このようにどこからお金と労力を持ってくるか、また、どこまで整えるかという難しい問題があります。
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