公園通り雑記帳

一票の平等よりも高い価値?

   

先日、全国知事会が、従来は都道府県単位であった参議院の選挙区を一部において県を越えて鳥取・島根のように「合区」したことについて、解消を求めることを決議し、国会に要望しました。

しかし、合区しなければ、議員定数を増加させない限り、全国最小人口(57万人)の鳥取県に2議席を与えなければなりません(半数改選のため最低2議席必要)。そうなると一票の価値の平等を保つには、北海道(538万人)には20議席、東京都(1351万人)には48議席必要です。そのように議員定数を大幅に増員するというのも一つの選択肢でしょうが、それには国民の反対が強いでしょう。

したがって、合区を否定する以上は、一票の価値の平等を否定するしかないことになります。

はたして都道府県ごとに議員を出すということが、一票の価値の平等を否定できるほど価値があることなのでしょうか。

合区を否定する上記知事会決議は、これまで都道府県ごとに意志を集約させてきたからとか、人口減少問題などについて多様な地方の意見を反映させるため、と言います。

しかし、そもそも県は、江戸時代はさらに小さい「藩」に分かれていたのを明治時代に合併させて作ったものですし、今も必要に応じて県を連合させることがそんなに大問題なのでしょうか。議員がどちらかの県の出身者であっても、同じ選挙区になる他県を無視はできず、当該県の意見が届かないということにはならないでしょう。

また、北海道だって札幌以外は小都市と本州以南とは比べものにならないレベルの広大な過疎地で構成されている「地方」です。しかし、合区前は北海道民の一票の価値は鳥取県民の20%しかなく、「地方」である北海道民の声は国会に十分に届いていなかったのが、合区とそれに伴う北海道選挙区の定数増により少し是正されました。合区すると地方の声が届かない、というのはこの例からみても誤りでしょう。

議員を県ごとに選出するということが、国民一人ひとりが平等に議員を選ぶ権利を持つことより意義があるとは思えません。北海道の高橋知事はこの決議に賛成していますが、北海道民の一票の価値を下げることにどうして賛成するのか不思議です。

【T】

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