「人づくり」への疑問
最近新聞を読んでいると、「人づくり革命」という言葉を目にします。これから政府が柱としたい政策らしいですが、その内容はさておき、「人づくり」という表現に違和感があったのでインターネットで「人づくり」と検索してみました。すでに企業や自治体などで使われているという結果が出たので、戸惑いました。「人づくり」という言葉で表現したいことはわからなくもないのですが、その「人」は組織や集団にとって都合の良い、画一的な「人」のように感じられます。「つくる」ことによって出来上がるものが「人」というのはなんだか気味悪く、もっといい言葉があるだろうにどうしてこう表現するのだろうと不思議です。
また、ネット上では、「人づくり改革」と書いてある記事もありました。「革命」と「改革」では全然意味が違ってくるのに、表現が定まっていないのか、発言者がその時の気分で言ってしまうのか、記者が無頓着なのか……。言葉に敏感なのが良いわけではありませんが、あまりに鈍感では、伝えることも受けとることも、難しくなるように思います。
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残業代ゼロ法案
政府が経済界の意向を受けて推進してきた残業代ゼロ法案に、連合がささやかな修正で容認する方針に転換しました。
4週4日・年間104日の休日と臨時の健康診断を行えば、あとは労働時間規制の適用はなく、残業代もなしでOKとのこと。これならたとえば年始に4日休んだら、あとは2月21日まで無休で長時間労働をさせても違法ではなく、残業代を支払う必要もありません。もちろん、過労死の危険は高まります。ブラック企業奨励法とでも言うべきとんでもない法案です。
新聞に出ていた推進側のコメントは、労働時間ではなく成果で評価されるようになるから、短時間で集中して働けば生産性が上がる、というものでした。短時間で集中して働くなら、現行の労働時間規制で何の不都合もなく、この法案におよそ理のないことは明らかです。
連合の変節により法案成立の可能性は高まりましたが、他方で、下部組織では反発の声が出ているとのことですし、連合と協力関係にある民進党も今のところは反対姿勢を維持しています。連合が裏切ろうとも労働者の真の声を高めれば、安倍政権の支持率低下という情勢のもと、廃案は不可能ではないと思います。【T】